集客も広告も、教科書どおりに積み重ねてきた。
一定の成果は出ている。それでも、その先に進めない。
この壁を越えるために必要なのが、「自社はどういう企業でありたいのか」を決めるコーポレートブランディングです。
ロゴやデザインを整えることではなく、社内と社外の両方に向けて、企業としての軸を言葉にし、行動にそろえていく取り組みです。
この記事では、コーポレートブランディングを始めるべきタイミング、社内と社外それぞれの進め方、そして全体の手順を、実務の経験をもとに整理します。
施策は回っているのに、会社としての軸が見えない
LUPINAは、企業としての在り方の言語化から、社内への浸透、社外への発信までをご一緒します。まずは現状の課題整理からご相談ください。

コーポレートブランディングとは、企業そのものを一つのブランドとして捉え、「この会社は何のために存在し、誰にとってどういう存在でありたいのか」をはっきりさせ、社内外にそろえて伝えていく取り組みです。
商品やサービス単位のブランディングとの違いは、対象が企業全体であることです。
顧客だけでなく、社員、採用候補者、取引先まで、企業に関わるすべての人が対象になります。
ブランディングというと、ロゴの刷新やWebサイトのデザイン変更を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、見た目は軸を表現する手段の一つです。
軸が決まっていないまま見た目だけを変えても、社員の行動も顧客の印象も変わりません。

執筆者は、事業会社でマーケティングの責任者を務める中で、コーポレートブランディングに取り組んできました。
きっかけになったのは、M&Aや新規採用によって、組織の成長スピードが一気に加速した時期でした。
会社が小さいうちは、経営者の考えが日々の会話を通じて自然に伝わります。
ところが、M&Aで別の文化を持つ組織が加わったり、採用で新しい人が一度に増えたりすると、それが通じなくなります。
人によって判断の基準がばらばらになり、同じ会社なのに違う方向を向いて動き始めます。
このとき、改めて「企業としてどうありたいのか」を考え、言葉にする必要が生まれました。
もう一つのタイミングは、マーケティングの成果が伸び悩んだときです。
教科書どおりの施策を積み重ねるだけでも、一定の成果は出ます。
ただ、競合も同じことをしているため、そこから先に進むには、「なぜ自社が選ばれるのか」という問いに答える必要があります。
この問いに答えることが、外部向けのブランディングの出発点です。
あわせて読みたい:BtoBブランディングの進め方|定義から8ステップの実践まで

コーポレートブランディングには、社内に向けたものと社外に向けたものがあります。
執筆者の経験では、組織が拡大する局面では、社内に向けたインナーブランディングを先に固めることが重要でした。
社員一人ひとりが優秀でも、向いている方向がばらばらでは、組織としての力は出ません。
どの顧客を大事にするのか。
迷ったときに何を優先するのか。
この判断の基準を、全員が共有できる言葉で示すことが、インナーブランディングの役割です。
「顧客第一」「挑戦」のような言葉だけでは、現場の判断には使えません。
具体的な場面で「この言葉に照らすと、こちらを選ぶ」と言えるところまで落とし込んで、初めて指針として機能します。
指針の作り方は、MVVの策定と重なる部分が大きいため、別の記事で詳しく解説しています。
あわせて読みたい:MVVの策定方法|全社員を巻き込み「我ごと」にする進め方

社外に向けたブランディングで陥りやすいのが、自社が言いたいことだけを並べてしまうことです。
自社のこだわりや強みを熱心に語っても、それが顧客にとって意味のあるものでなければ、選ばれる理由にはなりません。
作り手の思いが強いほど、この独りよがりに気づきにくくなります。
執筆者が外部向けのブランディングで取り組んだのは、顧客の声に耳を傾けることでした。
そのうえで、二つの問いを考え抜きました。
この二つに答えが出ると、発信する内容がぶれなくなります。
広告も、Webサイトも、営業の説明も、同じ核から語れるようになるからです。

社員が自社をどう捉えているか、顧客が自社をなぜ選んだのかを集めます。
社内の認識と顧客の認識にずれがあれば、そこが最初に向き合うべき課題です。
企業として何のために存在し、どこを目指し、何を大切にするのかを言葉にします。
このとき、経営陣だけで決めるのではなく、社員を巻き込むと、後の浸透が大きく変わります。
あわせて読みたい:企業理念の言語化|曖昧な言葉を判断基準に変える方法
言葉にした在り方を、評価や会議、日々の判断の場面で使います。
掲示するだけでは浸透しません。
使われる場面を意図的に作ることが必要です。
Webサイト、会社案内、広告、採用ページ、営業資料。
顧客や候補者が触れるすべての接点で、同じ核から語られているかを確認し、表現をそろえます。
ロゴやデザインの見直しは、この段階で行うのが適切です。
あわせて読みたい:ブランドガイドラインの作り方|決めるべき7項目と形骸化させない運用
ブランディングは一度で終わる取り組みではありません。
指名検索の推移や、顧客・候補者からの反応を定期的に確認し、ずれが出ていれば見直します。
あわせて読みたい:ブランディングの効果測定|指標の選び方と経営層への報告の型

ロゴやサイトのデザインを先に変えてしまい、中身が追いつかない。
見た目は軸が決まってから整えるものです。
経営陣だけで決めること自体は悪くありません。
ただ、社員に「上から降ってきた言葉」と受け取られると、行動は変わりません。
顧客の声を聞かずに作った発信は、独りよがりになります。
選ばれている理由は、顧客の側にあります。
規模に関係なく、組織が拡大する局面や、施策の成果が頭打ちになった局面では必要になります。
むしろ中小企業は、大手と同じ土俵の価格や物量で競えない分、「なぜ自社なのか」を明確にする意味が大きくなります。
組織が急に大きくなっている時期なら、社内向けの指針を先に固めることをおすすめします。
社内がそろっていないまま社外に発信すると、伝えている内容と現場の行動がずれ、かえって信頼を損ねるためです。
在り方を言葉にするまでと、それが社内外に浸透するまでは、分けて考える必要があります。
言葉にする段階は区切りを決めて進められますが、浸透は評価や日々の判断に組み込みながら、継続的に取り組むものです。

コーポレートブランディングは、企業として「どうありたいのか」を決め、社内と社外にそろえて伝えていく取り組みです。
組織が急に大きくなるとき、施策の積み重ねで成果が頭打ちになったとき。
そのタイミングで、社内には同じ方向を見るための指針を、社外には顧客の声から考えた核を示すことが、次の成長につながります。
まずは、最近自社を選んでくれた顧客に「なぜ選んだのか」を聞いてみてください。
その答えと、社員が考える自社の強みが一致しているか。そこから始められます。
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